紙と鉛筆

 私がもの心ついた昔から、コンピューター社会になると紙や鉛筆は無くなると言われてきた。いずれはそうなるだろうが、近い未来においてそれが起こるとは思えない。

 例えば、私たちの世代はコンピュータと無縁な幼少期を過ごした人間が殆んど全員である。紙の上に鉛筆やクレヨンで文字や絵を書いていた人が大部分であろう。そういう人間にとってコンピュータは清書のため、仕事や遊びのための道具である。私自身も文章は一度紙の上に書いたものをもう一度キーボードで打ち込むことが多い。紙と鉛筆無しで直接キーボード上で直接ものを考えるのは世代的にも無理なのかもしれない。もちろん、そうでない人もいるし、私自身も鍛錬を積むことによりキーボードのみで文章の作成、推敲ができるようにはなるだろうが、紙と鉛筆から完全に脱却できるかどうかは疑問である。