働かせたい、働かせたい、働かせたい

 総理大臣高市早苗の働かせたい改革。2026/02/22の日経新聞に安永竜夫・日本貿易会会長(三井物産会長)のインタビュー記事があった。 

高市首相は20日の国会の施政方針演説で裁量労働制の見直しを検討すると表明した。時間外労働について原則として合計月45時間以内とする規制を巡る議論も進む。

 現在の状況を説明した後で安永インタビューが始まる。「自分の休みは自分で取ればいい」という発言は週刊東洋経済2007年1月13日号での奥谷禮子を髣髴とさせる。

 「若い人は自分のやりたいことをやるために、早く自分のキャリアパスを達成したいのではないか」と自分に都合のいい存在を作り出し持ち出す、その程度の知能はあるんだなと感心した。

 また、インタビュアー曰く「長時間労働には賛成しているわけではない」と安永は繰り返したということだが、「私は差別に賛成するわけではないが」と前置きすれば差別発言が正当化できると勘違いしている知能と人間性が欠損しているクズが使うテクニックと同じだなと思った。

 「メジャーリーグで活躍する日本人選手を見ると、触発されるものがあるはずだ」という発言は知能程度が低すぎる。個人事業主とサラリーマンという違いを無視している。メジャーリーガーをダシに使うとバカに見えるんだけど、この人は自分がバカに見られることを気にしないのかな。

 記事の最後に、

日本経済新聞が25年12月に実施した「社長100人アンケート」では労働時間規制の緩和について9割が「賛成」と答えた。

とあるが、企業経営者は労働者を都合よく使いたいし、自分が利益が上げられないと労働者や規制のせいにしがちである。要は社会や法律のせいにする他責思考を居直るヤカラなのでそんなアンケート結果当たり前では、としかならない。

「AIの不都合な真実」2025年 仏Story Circus制作

 NHK-BSのBS世界のドキュメンタリーで流していたので録画して視聴した。

 AIが正常に動き続けるためには、入力されたデータに関して人力による判定をすることが必要不可欠。しかしそれをする人(データワーカーと呼ばれる)の現状は……という番組。

 「自立型AIであっても人力データ入力に依存している。人の労働の結晶。陰で人が膨大なデータ入力をしてる」という指摘。

 データワーカーは、他にまともな仕事があれば誰もやらないような低賃金。グロ画像やロリペド画像を見せられて精神に異常をきたす。

 データワーカーの低賃金労働を織り込んでAI企業のビジネスモデルが構築されているという指摘。データワーカーを使うのは下請なので非人間的な状況は見て見ぬふり。

 データワーカーが団結し労働組合を組織しようとすると雇用主が圧力をかけてきたり解雇されたりする。

 そしてAI企業が憑りつかれているイデオロギーとしてTESCREALというものが紹介された。(参考

  • トランスヒューマニズム(Transhumanism)
  • エクストロピアニズム(Extropianism)
  • シンギュラリタリアニズム(Singularitarianism)
  • 宇宙主義(Cosmicism)
  • 合理主義(Rationalism)
  • 効果的利他主義(Effective Altruism)
  • 長期主義(Longtermism)

 低賃金と醜悪なコンテンツを見せられて精神を病む人がいるのは問題だが、それはAIや社会の進展からすれば些細なこと、というイデオロギー。

 番組の最後で、AI企業の代表たちがインタビューで語った発言が流れる。この番組を踏まえたうえで改めて聞くと醜悪な意味合いが炙り出される。

 AIの出現は、無償で働いてくれる人が1000億人ある大陸を発見したようなものだ。(ナットフリーマン ミッドジャーニー)

 AIには文明を破壊するポテンシャルがあるが、ターミネーターにはならない。データセンターを出ないからだ。ロボットは手足にすぎない(イーロンマスク)

 仕事を奪い人間の命を狙うかもしれない。だがAIは人類に巨額の利益をもたらすはずだ。(サムアルトマン オープンAI)

「怠ける権利」ポール・ラファルグ

 ポール・ラファルグ(マルクスの次女ラウラの夫)によって書かれたもので、フランス語で書かれた原文の初版は1880年の刊行とのこと。平凡社ライブラリーの文庫本には「怠ける権利」「資本教」「売られた食欲」が収録されている。

 「怠ける権利」において、労働者が労働の奴隷になっているのは労働者に原因があるとしている。

 また、次のように指摘する。

経済学者たちは、たえず労働者に向かってくりかえす。社会の富を殖やすために、働け!と。しかし、別な経済学者、デスチュット・ド・ドラシーは彼らに応える。「貧しい国家とは、とりもなおさず国民が裕福な国家である。富んだ国家とは、国民が一般に貧しい国家である」と。

 「働くことによって、おまえ達は貧乏を深める(すると資本家は法で労働を強制しなくてもよくなる)」 労働をさせてくれと労働者のほうから言ってくる。どこかで聞いたような話ですね。老人は働きたがっているということにしたいどこかの国で聞く話。


 「資本教」のラストは信仰を捨てられないのでおおっぴらにdisれない信者の悲哀が出ていて味わいがある。


 「売られた食欲」は、飽食の金持ちの食事の消化を肩代わりすることになった食い詰めた貧民の悲劇。

 この話の設定として、「妊娠出産を肩代わりすることと満腹感を肩代わりすることはできなかった。しかし、後者を肩代わりすることができるようになった」というものがある。2026年現在の視点からすると、「妊娠出産を肩代わり」するテクノロジーの方は実現可能になってしまったね、と言う感想を持った。

二つの能力、女の懐妊能力と消化能力だけは、資本主義的愛他主義にまだつかまらずにいます。だれもまだこれらを商品化できず、処女の純潔や僧侶の徳、議員の良心や作家の思想、化学者の学問がおちいっているようあ、売買できるものにはまだできずにいます。この奇蹟を遂げる者は、シャルルマーニュ大帝より医大で、ニュートンよりすぐれた学者と崇められることになるでしょう。

そうなれば金持ちの女は、長い苦しい月日、胎児を腹にかかえ身体の線を崩すことなく、貧しい女の胎内に受精卵子を預けることになります。九ヵ月の間、この子宮を雇われた女は、資本家の胎児を自分の血肉で肥えらせるのですが、その間彼女は貧乏から一休みをいうわけです。生まれてはじめて、心ゆくまで飲んだり食べたりして休息します。

 代理出産が実現し、様々な問題が露呈している今読むと震える。1880年にこれ書いたのか。

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強い側に着くのが最も簡単な自己保身

 2023年3月の話。総務省の内部文書が捏造でなかった場合議員辞職も辞さないと言ってた高市早苗。捏造でないと認められたにも関わらず議員辞職しないまま逃げきった高市早苗。その高市を必死に擁護する人の存在が理解できない、という話。

 それに対して「強い側につくのが最も簡単な自己保身だから」という指摘

 これに関連して腑に落ちたことがある。各種給付金に対して所得制限(所得が低い方が給付をもらえる)ということに不満を持つ人が、なぜそれを決めた政府ではなく低所得者を非難し乞食呼ばわりするのか。さっぱりわからないのだけれどこれが答えなのかもね。

特殊詐欺「かけ子」のビジネスパーソン適性

 2026/1/10の中日新聞朝刊に、カンボジアを拠点とした特殊詐欺の元「かけ子」にインタビューした記事(参考)が載っており、紙面で読んだ。

 特殊詐欺の組織体制や集めたかけ子の管理法、役割分担や手口の詳細などが語られ、まるで企業のようだなという感想を持った。

 記事の最後で記者が「機会があれば、また海外の拠点でかけ子をするか」と質問し、それに対して元かけ子は「稼ぎと捕まるリスクが見合っていないので、もう行かない。もっとうまい方法で稼げないかなと思っている」と平然と話したとのこと。

 この元かけ子、ビジネスパーソンの適性があるなと思ったし企業はこういう人を採用すればいいのではないか。どうせやってることは大差無いんだし。

加害者の正当化テクニック

https://www.asahi.com/articles/AST792FCPT79UGTB003M.html

 東京電力で副社長を務めた石崎芳行のテクニックが記事になっていた。この記事の詳細はここで閲覧可能。

 この記事内で「太陽光でも風力でもリスクのないものはない。原発は世界で400以上動いており、安全に管理する手段はあるはず。エネルギー問題はみなさんの問題。ぜひ考えてみて下さい」というたいへん味わい深いフレーズが出てくる。定番テクニックのエッセンスが詰まっているので取り上げる。

 テクニック1:原子力発電所は事故が起きた時の影響度が、太陽光や風力に比べて極めて高い。実際放射能汚染されて未だに帰還できない地域があることでそれは明らか。それなのに「太陽光でも風力でもリスクのないものはない」と原発事故のリスクを太陽光や風力の事故と同程度に矮小化している。石崎氏は原発事故の甚大さ深刻さを福島第一原発事故で身をもって体験した筈なのだが理解してはいないようだ。「原発事故による避難指示さえなかったら、救えた命がたくさんあった」と言われ「消防団長から殴られそうになった」のにね。口で言ってわからない人はどうすればいいんでしょうか。

 テクニック2:原子力発電を安全に管理する手段を考えることを「エネルギー問題はみなさんの問題。ぜひ考えてみて下さい」としている点。まずは発電事業者が考えろややる気ないなら辞めろや。あ、東京電力はもう辞めているんですかそうですか。「事故の可能性があるけどエネルギー問題はみなさんの問題なんだからどうすりゃいいかはみなさんが考えろ」だそうです。

 このテクニック、控えめに言って手垢のついた黴臭いテクニックであらゆる意味でアップデートができてないなと思いました。

参考リンク1: 生き証人として福島に尽くす

参考リンク2: 2011.3.11に石崎芳行氏が東京電力福島第二原発の所長でなかったのは不幸中の幸いだった可能性(2025.7.13作成)

お辞儀がちゃんとしてるからいい人

https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/85614

お辞儀や話し方などの所作からも信頼できる方だと思います。

 お辞儀がきれいにできる信頼できない人、ってのは普通に存在しうるし存在するのだが、人や物事を判断するのにいちいち手間や脳のリソースを総動員するのは面倒くさい。だから、そういった手間や脳を使う労力を節約することはある意味合理的である。それで痛い目を見ずに済む人生を送ってきたのならなおさら。

 そういった「労力を節約できる合理的な人」はそれなりの数いるのだ。斎藤元彦を兵庫県知事にする程度には。

 すると、選挙戦に臨む側は有権者のその特性を利用する。見映えのするお辞儀や話し方を身に着けたり、選挙の時期だけ腕時計はチープカシオにしたり。広告代理店にSNS戦略を依頼したり二馬力選挙を利用したり、県外からバスに乗り合わせて「応援」を動員したり。

 「選挙は広報の総合格闘技」。的確なフレーズですね。

飲食店でのスマホ注文

賛否両論ある“飲食店のスマホ注文” 通信料とバッテリー残量懸念の声「客にタダ乗り」

【悲報】飲食店のスマホ注文『俺のギガに“タダ乗り”しやがって』と炎上

 飲食店に入って席に座ると店員がやってきて「ご注文はスマホで(LINEの友達登録をして)お願いします」と言われることが増えた。

 不思議なのは、店のホームページや店舗の入口に「当店はお客様のスマホで注文していただきます」という旨の説明が無いことだ。少なくとも私は見たことがない。店舗に入って席に座り初めて店員に宣告される(私はこれを「騙し討ち」と呼んでいる)。

 客のスマホで注文させることを事前に客に知らせたくない事情でもあるのだろうか?あるいは、飲食店の経営者は効率化が不得手なのだろうか?店員に「騙し討ち」させる手間を省けば更なるコストダウンができるのに。

 少し前のインターネットでは「客のスマホで(LINEに友達登録させて)注文させる店舗一覧」を誰かが作っていたが、軽く調べた範囲ではそういったものは今のところなさそう。客のスマホ注文をさせる業者の宣伝HPばっかりがヒットする。

 正直なところ「”ビール飲み放題“と書いてあるのに出てくるのは発泡酒」レベルで、情報開示上の問題がある。飲食業界ってそういうの問題だと思わないのかな。

 最後に自分の体験談を一つ。客のスマホで注文させる飲食店を利用し、料金を払い帰宅してブラウザをリロードしたら、そのテーブルを使っている次以降の客が使っていると思しき注文画面と注文履歴が出てきたことがある。ブラウザを閉じたので詳細は不明だが、こちらから注文しようと思えばできたのではないか。いいのかそれ。

「子供産んで子育てすること以上に自分を成長させてくれて社会にも貢献できる仕事ってあるんだろうか?」

 以下のようなツイートを見かけた。

怒る人いそうだけど、子供産んで子育てすること以上に自分を成長させてくれて社会にも貢献できる仕事ってあるんだろうか?妊娠出産でキャリアが…とか言ってる人見たらいつも思うんだよ。人間が普通に働いて達成できることなんて超大した事ないよ。

 これを見て、IIJ会長鈴木幸一が2021年3月に日経新聞の連載記事で「女性が昔ながらの主婦業を徹底して追求した方が、難しい仕事だし、人間としての価値も高いし、日本の将来にとっても、はるかに重要なことではないか」と書いたことを思い出した。

 さて、冒頭のツイートをしたかたは続けてこうツイートした。

これに反対する反応も思った通りたくさんあるんだけど、どれも頓珍漢なんだよな。「仕事でも成長できる」「仕事でも社会に貢献できる」って、それって自分でそう思ってるだけなんだよ。みんなが独りよがりのそんなこと言ってるから、文明が消え去りそうになってるんだよ。

 このかたの考え方を採ると、「子供産んで子育てすること以上に自分を成長させてくれて社会にも貢献できる仕事ってあるんだろうか?」という意見だって「自分でそう思ってるだけ」「独りよがり」となるのだが気づかないのだろうか?と、素朴な疑問を持った。

 なお、冒頭のツイートをされたかたは「専業主婦飼ってる身」だそうです。念のため言っておきますが私が言っているのではありません。ご本人がそう仰っています。

このひと専業主婦の妻に育児やらせながら育児マウントしてる感じなのか…。「専業主婦飼ってる」って言葉もすげえし大した人間的成長だわ
育児に限らずケアの経験が人を成長させることはあると思うけど、ケア役割を専業主婦の妻に担わせながら親になっただけで自分が上等な人間になったつもりでいる父親の中で育ってるのは傲慢さだけだろ

 「親になっただけで自分が上等な人間になったつもりでいる父親の中で育ってるのは傲慢さだけ」まさにその通りだと思った。

 そして、冒頭の人の発言は「妊娠出産でキャリアが…とか言ってる人」(つまり男性は除外される)に向けた発言なのである。IIJ会長鈴木幸一の発言も女性に向けられたものであり男性は対象から除外されていることに留意されたい。キャリアのことを気にする女性に対しどんな視線を向けているか、女性の社会進出に対しどんな視線を向けているか、たいへん丸わかりで露骨なのが味わい深い。

ABEMAは「視聴者が喜ぶのなら、何をやってもよい」ところです。

https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2025/02/25/kiji/20250225s00041000157000c.html

 問題視されているのは、1月20日にABEMAの報道番組「ABEMA Prime」で配信された「AED(自動体外式除細動器」を巡る報道。「心肺停止状態の女性にAEDを使ったら警察に被害届を出された」という男性の証言を取り上げた。
 この内容が、警察への取材で「そのような事案はなかった」ということが発覚。取材に応じた男性のSNSも閉鎖され、疑惑が深まっていた。

 篠塚社長は内容にそごはあるとしつつも「番組の趣旨が誤って伝わっているようなところがある」と懸念し、「女性にAEDを使うのを躊躇しないでほしいという趣旨だった」と説明した。

 ABEMAがやってることって「報道」なの?という素朴で根本的な疑問はあるが続ける。テレビ朝日篠塚浩社長の「説明」、誰が考えたのか知らないけどいっしょうけんめい考えたのだろうなとお察しする。こんなので責任逃れ・正当化ができて逃げ切れるなんてラクな人生でいいな、あまりに羨ましいのでボクチンと今からでも人生代わってほしいなと思いました。

逆だろ。アベマがばら撒いたのは「女にAED使うとヤバいから放置しろ」というメッセージ 地上波だとデマを放送すると総務省に停波させられかねないけどネット番組ならどんだけデマ撒いてもいいもんな。掣肘されなければ際限なくデマばら撒くよな。そのほうが視聴数増えるもんな。

 ところで、今回の騒動、特に驚きはない。ABEMAってそういうところだし。ABEMAって「視聴者が喜ぶのなら、何をやってもよい」ところなので。

 これは私が言っているのではなく、ABEMA内部の方がそう言っています。2022年10月に当ブログで取り上げたサンデー毎日の記事をご参照のこと。

 また、弁護士ドットコムの記事も紹介しておきます。

https://www.bengo4.com/c_23/n_18465

しかし、ネットの報道番組はBPOの対象外であり、第三者機関も現在、存在していないと考えられる。

https://www.bengo4.com/c_18/n_18461

2016年ころから番組内容が男性寄りであり、「ネットを積極的に使う男性」が喜ぶような内容が多く、バイアスのかかったものが多いのが問題だとこれまでも指摘してきた。これが私の言う「ABEMAニュースの最大の問題点」だ。

ABEMAは弁護士ドットコムニュースの取材に「番組制作の過程については、回答を差し控えさせていただきます」とした。